丹波篠山は兵庫県の中でも内陸にあります。それでもお店に立っていて、よく聞かれるのが「刺身に合うお酒はどれですか?」という質問です。

この質問は、いつも頭を悩ませますが、慎重に情報を整理して答えるようにしています。

 

整理するポイントは3つあります。

一つ目は、どの魚介の刺身なのか明確すること。

二つ目は、季節ごとのお酒の味を把握すること。

三つ目は、お客様が用意した刺身に、自分が選んだお酒が合う理由を伝える。

 

こうして考えると「刺身に合うお酒はどれですか?」は、まず食材について、次にお酒について、最後に2つの合わせ方の、3つを知った上で答える難しい質問です。聞かれるたびに頭を悩ます問いですが、しっかりと魚の特徴や、秀月のお酒の味、組み合わせのパターンを理解すると、ほとんどのお客様に満足していただける回答ができると思っています。

 

まず、魚が「旬」を迎えるとはどういった状況か整理します。
魚にとって「旬を迎える」とは、主に産卵期に向けて体が最も栄養を蓄え、脂が乗って美味しくなる時期、または回遊や環境の変化で身が最も引き締まる時期を指します。その他に水温の変化によって、身が引き締まり、独特のコリコリとした食感と旨味が生まれる時期があります。

 

この記事では、春夏のそれぞれの旬のお魚をまとめ、それに合うと思う秀月のお酒を選びました。

 

 

春(3月〜5月)

 

◆マダイ(桜鯛):産卵前のこの時期は身がピンク色に色づき、脂がのって甘みが増します。皮のすぐ下に脂と旨味の層があるため、皮ははがさずに熱湯をサッとかけた霜造りが季節の味とされています。

◆サワラ(鰆):関西を中心に春が旬とされ、お刺身にするとトロのような濃厚な甘みと柔らかい食感を楽しめます。こちらも皮を残したまま表面を炙り、玉ねぎや大葉と一緒に食べるたたきがおすすめです。

◆合わせるお酒:月の氷室 純米生

この2つのお魚には、月の氷室 純米生がよく合うと思います。しっかりとした旨味があり、上質な脂がのってくるこの時期の刺身には、甘味・旨味・酸味のバランスが良いこのお酒をあわせていただきたいです。

 

◆カツオ(初鰹):黒潮に乗って北上するカツオで、脂が少なくさっぱりとしたヘルシーな赤身が特徴です。戻りガツオに比べて身がキュッとしまっており、モチっとした食感が特徴です。

◆合わせるお酒:純米生原酒

赤身の魚にには、純米生原酒の強い旨味はマッチします。特にこの時期の純米生原酒は、しぼりたてから少し味が落ち着き、甘味や旨味が出始めており、赤身で旨味のある初ガツオにピッタリです。

 

◆サヨリ(細魚、針魚):スーパーで見つけたときは、テンションが上がるお刺身。透き通るような美しい白身で、淡白でコリコリとした上品な歯ごたえが楽しめます。

◆合わせるお酒:月の氷室 生酒 

スッキリとした爽やかな甘さが特徴の月の氷室 生酒は、比較的淡白なお刺身との相性が良いです。サヨリの味を邪魔することなくしっかりと受け止めます。

  

 

夏(6月〜8月)

 

◆マアジ(真鯵):一年中流通していますが、夏は最も脂がのるピークで、お刺身やたたきに最適です。スーパーでも簡単に手に入る私たち庶民の味です。

◆合わせるお酒:月の氷室 純米生

夏になり驚くほど脂の乗った味には、しっかりと冷やした月の氷室 純米生がおすすめです。少し酸があるお酒で、味の脂ともよく合い、後味の口の中もスッキリとしてくれます。

 

◆ハモ(鱧):関西の夏は鱧を食べないと始まりません。「梅雨の水を飲んで旨くなる」と言われる鱧は、初夏から盛夏にかけて、産卵を控えて身がふっくらと肥え、あっさりとした上品な味わいを楽しめます。

◆合わせるお酒:月の氷室 生酒

さっぱりとした鱧には月の氷室 生酒がおすすめです。湯引きでふっくらとした身に大葉や梅などの薬味を合わせて、さっぱりと食べるときは、癖のないこのお酒がベストマッチです。

 

◆イサキ:麦の穂が実り、人々が麦わら帽子をかぶり始める初夏に旬を迎えることから、「麦わらイサキ」と呼ばれる旬の食材。最も脂がのり、皮目を少し炙ってお刺身にすると香ばしさと脂の甘みが引き立ちます。 

◆合わせるお酒夏純米 うすにごり

少し野性味のある味のイサキには、スッと体に馴染むような夏純米 うすにごりがおすすめです。軽快で醪の甘さが特徴のお酒で、料理のや食材のいい部分を引き出してくれます。

 

◆マイワシ(真鰯):夏に捕れるものは「入梅いわし」とも呼ばれ、皮をはぐと白い脂が層になるほど脂がのっています。刺身のほかに、生姜やネギ、味噌と叩いたなめろうも絶品です。

◆合わせるお酒:純米酒

脂の乗ったイワシには、旨味があり後味に酸を感じる純米酒がおすすめです。青魚特有の旨味や香りも、まろやかになった純米酒の旨味が包み込んでくれます。また秀月の純米酒は、2回火入れしていますが、冷やしてもおいしいです。

 

 

今回の記事では、代表的なものを選びましたが、まだまだ魅力的な魚はたくさんあります。
すこしずつ更新していけるように、お客様や飲食店の方とたくさん会話をしていきたいと思います。